70歳の新人「シニア・インターン」ベンと、若き社長ジュールズの物語です。ベンは、すぐにアドバイスをしません。まず「相手が何に困っているか」を、じっと観察し、耳をかたむけます。この記事では、この映画から「話す力」より大切な「聴く力(傾聴)」を学びます。
特集「アサーティブコミュニケーション」第2回の教材です。
コミュニケーションというと「うまく話すこと」を想像しがちです。でもこの映画の主人公ベンは、たくさん話す人ではありません。むしろ、よく聴く人です。
➡ 「話が上手い人」ではなく、「相手を大切にしながら、自分の気持ちも伝えられる人」。そのうちの「相手を大切にする=聴く」を、今回は深めます。
アサーティブは「自分も大切、相手も大切」な伝え方でした(第1回)。この「相手も大切」を実際の行動にするのが、聴くことです。
① 相手が話し終える前に、答えを言ってしまう
② 「それはこうすべき」とすぐアドバイスする
③ 自分の話にすり替えてしまう
ベンは、この3つをしません。だから相手は「わかってもらえた」と感じます。
ベン・ウィテカーは70歳。会社を定年で退職し、妻にも先立たれ、毎日にもの足りなさを感じていました。そんなとき、「シニア・インターン(年上の新人)」の募集を見つけ、応募します。
働き先は、若い社長ジュールズがつくった、急成長中のファッション通販の会社。最初ジュールズは、年上のベンをどう扱っていいか分からず、少し距離を置きます。
でもベンは、でしゃばらず、よく見て、よく聴きます。困っている人にそっと手を貸し、信頼を少しずつ積み上げていきます。やがてジュールズにとって、ベンはいちばん相談できる人になっていきます。
🏙 舞台はどこ?
アメリカ・ニューヨークのブルックリン。ジュールズの会社は、インターネットで服を売るスタートアップ(新しくできた成長中の会社)です。
📅 いつの時代?
2015年に作られた映画で、お話も現代。スマホやSNS、ネット通販が当たり前になった時代です。
メールやチャットで素早くやりとりできる時代だからこそ、「じっくり相手の話を聴く」ことの値打ちが光ります。ベンの「聴く力」は、今だからこそ学ぶ意味があります。
アメリカの映画監督で、この作品では監督・脚本・製作を兼ねました。家族や仕事、人生の後半を、あたたかく描く作品で知られています。
この映画でも、「年齢や立場がちがっても、敬意を持って聴き合えば、人は助け合える」という考えが大切にされています。
アメリカを代表するベテラン俳優。ここでは、電話帳を作る会社に40年勤めた元役員で、落ち着いてよく聴く70歳のベンを演じています。
会社を1年半でここまで大きくした、いそがしい若い社長を演じます。仕事も家庭もがんばる中で、悩みをかかえる役です。
ベンがどう聴いているかを、映画の中でさがしてみましょう。ポイントは3つ。
- ① すぐ答えを出さない相手が話し終わるまで、待つ。「どう思う?」と問い返すこともあります。
- ② よく見る(観察する)言葉だけでなく、表情や様子から、相手が本当に困っていることに気づきます。
- ③ 相手を否定しない「それはダメ」と決めつけず、まず受けとめる。だから相手は安心して話せます。
あなたのまわりにも、「この人には話しやすいな」と感じる人はいますか? その人は、どんな聴き方をしているでしょう。
「傾聴」とは、心をかたむけて聴くこと。すぐに真似できる4つのコツを紹介します。
➡ 聴くことは、「あなたを大切に思っている」という、いちばんやさしいメッセージです。
映画(またはあらすじ)の中で、「ベンが上手に聴いているな」と思った場面を1つえらんで書いてみよう。
🌱 今日のまとめ
コミュニケーションの主役は、じつは「口」ではなく「耳」かもしれません。
- すぐに答えを出さず、最後まで聴く。
- 言葉だけでなく、表情や様子も見る。
- 否定せず、まず受けとめる。
- 質問で、相手の気持ちを引き出す。
- 聴くことは「あなたを大切に思う」というメッセージ。
これが、『マイ・インターン』からもらえる、いちばん大切なプレゼントです。
ベンの職業は「電話帳を作る会社の元役員」。紙の電話帳が使われなくなった時代の変化も、そっと物語に重ねられています。道具は変わっても、「人の話を聴く力」は古くならない、というメッセージが込められています。