ゴミだらけになった未来の地球で、ひとり働き続ける小さなロボット――。『ウォーリー』は、かわいいロボットの冒険でありながら、環境問題、人間の暮らし、テクノロジー、友情、そして「自分で考えて行動すること」を考えさせてくれる映画です。あらすじからテーマ、時代背景までをやさしく紹介します。
公開:2008年(アメリカ) 制作:ピクサー・アニメーション・スタジオ 配給:ウォルト・ディズニー
監督・原案:アンドリュー・スタントン 音楽:トーマス・ニューマン ジャンル:SF・アニメーション・冒険
ずっと先の未来。人間は汚れた地球を離れ、宇宙船「アクシオム」で暮らしています。だれもいなくなった地球には、大量のゴミが残され、ゴミ処理ロボット「ウォーリー」が、ひとりでゴミを集めて小さく固める仕事を続けていました。
ある日、植物を探しにきた白いロボット「イヴ」と出会います。ウォーリーが見つけた小さな植物が、地球と人間の未来を大きく動かしていきます。
子どもむけのようでいて、環境や科学、これからの暮らしについて深く考えさせてくれる、ピクサーの名作です。第81回アカデミー賞・長編アニメ映画賞を受賞しました。
便利な生活には、ゴミが出るという面もあります。食べ物の包装、ペットボトル、電化製品、家具……。映画は、その問題を極端な未来のすがたとしてえがきました。
| わたしたちの世界 | 映画の世界 |
|---|---|
| 使い終わった物がゴミになる | 地球全体がゴミでおおわれる |
| ゴミの処理に人や機械が必要 | ロボットがゴミ処理を続ける |
| 物を買うと資源を使う | 大量消費が未来の問題になる |
| 環境を守る行動が必要 | 植物が地球の未来の希望になる |
ゴミは、捨てたら消えるわけではありません。どこかに運ばれたり、もやされたり、うめられたりします。だから、ゴミを減らすことや、物を大切に使うことが大切なのです。
映画では、BNL(Buy n Large/バイ・エヌ・ラージ)という大きな会社が、人間の暮らしに深く関わっています。BNLは架空の会社で、人間が地球を離れて宇宙船で暮らす未来を作った、物語上の重要な存在です。「便利な暮らしは、人間を幸せにするのか?」という問いを考えるきっかけになります。
映画の舞台は、わたしたちの時代からずっと先の未来。作品では29世紀(西暦2805年ごろ)、人間が地球を離れてから約700年が経った世界としてえがかれています。
- 現代・2008年ピクサーが未来の地球をえがいた映画『ウォーリー』を公開。
- 約700年後人間が地球を離れる。大量のゴミが残された地球。
- さらに長い時間ウォーリーが、ひとりでゴミ処理を続ける。
- 物語の始まりイヴが地球にやってくる。植物を探す任務が、未来を変えていく。
映画の未来はフィクションです。かならず地球がゴミだらけになると決まっているわけではありません。映画は「もし人間が環境を大切にしなかったら?」という問いを、未来の物語として投げかけています。
➡ 未来を変えるために、今のわたしたちにできることは何だろう?
『ウォーリー』が作られた2008年を知ると、映画が生まれた時代の感覚が分かります。
| 2008年 | 今 | |
|---|---|---|
| けいたい電話 | ガラケーが主流 | スマートフォンが主流 |
| ゲーム・映像 | WiiやニンテンドーDSが人気 | 動画配信や高画質映像が身近 |
| ロボット | 未来の技術というイメージ | 掃除ロボットが家庭で活躍 |
| 技術 | インターネットが広がる時代 | AIやロボットの技術が発展 |
2008年は、コンピューターやデジタル技術が発展し、地球温暖化やエコ活動への関心も高まっていた時代です。『ウォーリー』は、そんな時代に「技術が進んだ未来の人間の暮らし」をえがきました。
アメリカの映画監督・脚本家・アニメーター。ピクサーの映画づくりをささえてきた重要なクリエイターで、『ファインディング・ニモ』(2003年)や『ファインディング・ドリー』(2016年)の監督でもあります。『ニモ』と『ウォーリー』で、アカデミー賞・長編アニメ映画賞を受賞しました。
1994年、ピクサーの仲間たちが昼食をとりながら、新しい映画のアイデアを考えていました。そのとき生まれたのが――「もし人類が地球を離れ、最後のロボットの電源を切るのを忘れていたら?」という発想です。この小さなアイデアが、約10年かけて発展し、『ウォーリー』の物語になりました。
➡ アイデアは、最初から完成しているわけではありません。おもしろいと思ったアイデアを、あきらめずに育てることが大切なのです。
『ウォーリー』は、登場人物の多くが人間のように長いセリフを話しません。だからこそ、音を作るスタッフの仕事がとても重要でした。
映画の音を作る「サウンドデザイナー」として有名な人物で、『スター・ウォーズ』や『E.T.』の音響効果も手がけました。ウォーリーは人間の言葉を話さず、電子音や動作音によって気持ちを伝えます。
🎙️ 日本語吹き替え版の声の出演
| ウォーリー | 横堀悦夫 |
|---|---|
| イヴ | 園崎未恵 |
| 艦長 | 草刈正雄 |
| オート | 江原正士 |
| コンピューター | 小山茉美 |
ウォーリーが悲しそうに見えるとき、声はどんな音になっている? うれしいときと、おこっているときで、音はどうちがう?
序盤は、セリフがとても少ない作品です。それでもウォーリーの「さびしい」「うれしい」「おどろいた」という気持ちが伝わるのは、動きや音がくふうされているから。コミュニケーションは、言葉だけではないことを教えてくれます。
スタントン監督は、実写映画のようなカメラの動き(手ブレ、ズーム、ピントの変化など)をアニメーションで表現することに挑戦しました。「どこから見るか」「どのくらい近づくか」も、映画づくりの大切な仕事です。
音楽を担当したのはトーマス・ニューマン。音楽が、ウォーリーとイヴの気持ちを伝える役割を果たしています。ウォーリーが繰り返し見る古い映画として『ハロー・ドーリー!』が登場します。
🤖 今日のまとめ
- 『ウォーリー』は、ゴミだらけの未来の地球を舞台にしたロボットの冒険映画
- 環境問題や大量消費を、極端な未来のすがたとして考えさせてくれる
- 便利な技術は、使い方が大切。自分で考え、行動することを問いかける
- 言葉が少なくても、動きや音で気持ちは伝えられる
- 未来はまだ決まっていない。今日の小さな行動が、明日の世界につながる
ウォーリーは、ひとりで地球を掃除していました。でも、地球の未来を変えたのは、ウォーリーだけではありません。イヴや人間たちが、力を合わせて行動したからです。「あなたは、未来の地球をどんな場所にしたい?」――みんなで話し合ってみてください。
📚 参考資料(主な出典)
- ディズニー公式『ウォーリー』作品紹介(公開日・概要・日本語吹き替えキャスト)
- Disney/Pixar 公式『WALL・E』作品情報(監督・声の出演者)
- Wikipedia「WALL-E」「ウォーリー (映画)」/AFI Catalog『WALL-E』(制作背景・アイデアの起源)
- 参照:映画『ウォーリー』(2008年、監督アンドリュー・スタントン、制作ピクサー/配給ウォルト・ディズニー)