「無料で使えるサービスなら、商品になっているのは、あなた自身かもしれない」──。SNSや検索サービスを実際に設計してきた元IT企業の社員たちが、その「しくみ」を語るドキュメンタリーです。この記事では、SNSがどうやって私たちの時間と注意を集めているのかを考えます。
- 羅生門
- 市民ケーン
- 父親たちの星条旗
- スポットライト 世紀のスクープ
- アルゴ
- JFK
- ソーシャル・ネットワーク
- 監視資本主義:デジタル社会がもたらす光と影(この記事)
この特集では、証言の食い違い、メディアの力、写真や映画の脚色、陰謀論、そしてSNSの誕生を見てきました。
➡ 最終回は、今まさに私たちが毎日使っているSNSや動画サービスの「しくみ」そのものに目を向けます。
- 🎥 ドキュメンタリー+ドラマ元IT企業の社員や研究者へのインタビューと、スマホに夢中になるある家族を描いたドラマ部分が交互に進みます。
- 👤 語るのは「作った人たち」GoogleやFacebookなどで働いていた人たちが、自分たちが設計したしくみについて語ります。
- 🏆 エミー賞アメリカのテレビ界の賞であるエミー賞で、ノンフィクション番組の脚本賞と編集賞を受賞しました。
多くのSNSは無料で使えます。では、会社はどうやって利益を上げているのでしょうか。
- ① 広告で収入を得るSNSの主な収入は、画面に表示される広告です。
- ② 長く見てもらうほど得をする利用者が長く使えば使うほど、多くの広告を見せることができます。
- ③ データで「好み」を予測する何を見て、何に「いいね」をしたか。行動のデータから、その人が興味を持ちそうなものを予測します。
人々の行動データを集めて分析し、利益につなげる経済のしくみを、研究者ショシャナ・ズボフは「監視資本主義」と名づけました。邦題はこの言葉からとられています。
➡ 「自分の意志が弱いから」だけではなく、長く使わせるように設計されていることを知るのが第一歩です。
SNSは、一人ひとりの好みに合わせて情報を表示します。便利な反面、次のようなことも起こりえます。
- ① 見たい情報ばかりになる自分と同じ意見ばかりが表示され、違う意見にふれにくくなる。
- ② 強い言葉が広がりやすい怒りや驚きをさそう投稿は反応されやすく、広がりやすい傾向があると指摘されています。
- ③ 人によって「見えている世界」がちがう同じ出来事でも、人によってまったく違う情報を見ていることがある。
※特集第1回『羅生門』の「立場によって見える話が変わる」ことが、今度はアルゴリズム(表示のしくみ)によって起きているとも言えます。
この作品は大きな話題になった一方で、批判もありました。
- 🏢 企業からの反論Facebook(現Meta)は、この作品が問題を単純化しすぎているという趣旨の反論を公表しました。
- 🎭 ドラマ部分の演出家族のドラマ部分は、わかりやすくするために大げさに描かれている、という指摘もあります。
➡ ドキュメンタリーも「作り手の視点」でまとめられた作品です。この特集で学んだ目で、この作品自体も見てみましょう。
🌱 今日のまとめ
SNSは便利な道具であると同時に、私たちの注意を集めるように設計されています。
- 多くのSNSは、広告で収入を得ている。
- 長く使わせるための通知・無限スクロール・おすすめなどの設計がある。
- 表示のしくみで、人によって見える情報がかたよることがある。
- 作品への批判も知り、ドキュメンタリー自体も見極めよう。
この作品に出演しているトリスタン・ハリスは、元Googleのデザイン倫理担当者で、テクノロジーを人間にとってよりよいものにすることをめざす団体「センター・フォー・ヒューメイン・テクノロジー」を共同で立ち上げました。