1960年代のアメリカ。宇宙へ人を送る計画の裏で、ロケットの軌道を計算していたのは、黒人の女性たちでした。けれど彼女たちは、トイレもコーヒーポットも別にされる職場で働いていました。この記事では、人種と性別の「見えない壁」と、それを越えていった人たちを考えます。
原題の“Hidden Figures”には、「隠れた数字」と「隠れた人たち」という2つの意味がかけられています。
➡ 大きな成功の陰には、名前が知られないまま支えた人たちがいます。特集第4回では、実話をもとに考えます。
- 🚀 宇宙開発競争1957年にソ連が人工衛星の打ち上げに成功し、アメリカは宇宙開発を急いでいました。
- 🧮 「計算手」の女性たちコンピュータが普及する前、NASAでは多くの女性が手計算で複雑な計算をしていました。
- 🚻 人種隔離アメリカ南部では、黒人と白人でトイレや学校、バスの席まで分ける制度がありました。
- 👩🚀 1962年のジョン・グレンアメリカ人として初めて地球を周回する飛行に成功。その軌道計算の確認をしたのがキャサリン・ジョンソンです。
バージニア州のNASAラングレー研究所。数学の天才キャサリン、管理職の仕事をしながらも正式な肩書きのないドロシー、技術者をめざすメアリーの3人は、「西計算グループ」で働く黒人女性です。
キャサリンは宇宙特別研究本部に配属されますが、そこは白人男性ばかり。黒人用のトイレは遠く離れた建物にしかなく、毎日走って往復しなければなりません。
3人はそれぞれの壁に立ち向かい、実力で道を切りひらいていきます。
- 🧮 キャサリン・ジョンソン理不尽を上司に訴え、計算の力で信頼を勝ちとった。
- 💻 ドロシー・ヴォーン大型コンピュータの登場で仕事がなくなることを見こし、プログラミングを独学で学んで仲間と身につけた。
- ⚖️ メアリー・ジャクソン白人しか入れない学校で学ぶため、裁判所に訴えて許可を得た。
3人の方法はちがいます。声を上げる、学び続ける、ルールそのものを変える──壁の越え方は一つではありません。
この映画は実話をもとにしていますが、いくつかの脚色があります。
- 👤 上司アル・ハリソンケビン・コスナーが演じた上司は、何人かの実在の人物をもとにつくられた人物です。
- 🚻 トイレの場面有名な場面ですが、実際の出来事とは細部が異なるとされています。
- 🎬 邦題の変更日本公開前、邦題は当初『ドリーム 私たちのアポロ計画』でしたが、「舞台はアポロ計画ではなくマーキュリー計画」という指摘を受け、『ドリーム』に変更されました。
「実話にもとづく映画」は、事実と脚色を分けて受け取ることが大切です(特集「情報を見極める」第5回『アルゴ』も参照)。
アリソン・シュローダーと共同で脚本を書きました。
NASAで働いていた父を持つ作家が書いたノンフィクションが原作です。
数学の天才。実在のキャサリンは2015年に大統領自由勲章を受け、2020年に101歳で亡くなりました。
この役でアカデミー助演女優賞にノミネートされました。
のちにNASA初の黒人女性エンジニアとなる人物。
🌱 今日のまとめ
大きな成功の陰には、「隠れた人たち」がいました。
- 1960年代、NASAで黒人女性たちが宇宙開発の計算を支えていた。
- 職場にも、トイレや学校を分ける人種隔離の制度があった。
- 3人は、声を上げる・学ぶ・ルールを変える、それぞれの方法で壁を越えた。
- 実話映画には脚色もある。事実と分けて受け取ろう。
NASAのラングレー研究センターには、キャサリン・ジョンソンの名前をつけた計算研究施設があります。