小学生のとき、耳の聞こえない転校生・硝子をいじめていた少年・将也。やがて自分がいじめられる側になり、心を閉ざしたまま高校生になります。「もう一度、あの子に会わなければ」──。この記事では、いじめ、障害、そして「伝える」ことの難しさを考えます。
いじめは、「した側」「された側」「見ていた側」、それぞれの心に長く残ります。
➡ この映画は、いじめを「した側」が過去と向き合う物語です。ちがいのある相手と、どう関わり、どう分かり合おうとするのか。特集第2回で考えます。
小学6年生の将也のクラスに、耳の聞こえない少女・西宮硝子が転校してきます。硝子は筆談ノートで話そうとしますが、将也たちはからかい、やがていじめはエスカレートしていきます。
問題が明るみに出ると、今度は将也がクラスで孤立し、いじめられる側になります。
高校生になった将也は、手話を学び、硝子に会いに行きます。二人の再会をきっかけに、かつての同級生たちとの関係も、少しずつ動き始めます。
- ✋ 手話手や表情を使って話す、独自の文法を持つ言語です。将也は、硝子と話すために手話を学びました。
- 📓 筆談紙に書いて伝える方法。硝子は転校してすぐ、筆談ノートでみんなと話そうとしました。
- 🦻 補聴器音を大きくして聞こえを助ける機器。映画では、いじめで補聴器が取り上げられる場面もあります。
- 💬 「伝わらない」のは一方だけの問題?聞こえる人どうしでも、気持ちが伝わらないことはたくさんあります。
この映画では、耳が聞こえる登場人物たちも、本当の気持ちをうまく伝えられずにいます。「伝える」ことの難しさは、障害があるかどうかだけの問題ではありません。
高校生の将也には、周りの人の顔に「×(バツ印)」がついて見えます。
それは、将也が人と目を合わせられず、心を閉ざしていることを表す、映画ならではの表現です。人と関わり直すたびに、バツ印が一つずつはがれていきます。
言葉で説明せず、見た目の変化で心の動きを伝える。アニメーションだからこそできる表現に注目しましょう。
京都アニメーションの監督。『けいおん!』などで知られ、登場人物の細やかな表情やしぐさで心を描く作風です。
原作は『週刊少年マガジン』で連載された漫画です。脚本は吉田玲子が担当しました。
かつていじめをした過去を背負い、向き合おうとする少年。小学生時代は松岡茉優が演じています。
耳の聞こえない少女。いつも笑顔で「ごめんなさい」と言ってしまう、その心の奥が物語の鍵になります。
硝子を守ろうとする妹。
- ① 「した側」の後悔将也は、過去は消せないと知りながら、向き合う道を選びます。
- ② 「見ていた側」の責任同級生たちも、止めなかったり、加わったりしていました。
- ③ 「された側」の心硝子は、自分がいるせいで周りが傷つくと思いこんでしまいます。
- ④ やり直すことはできる?許すかどうかは相手が決めること。それでも、関わり直す努力はできます。
2026年10月30日から、公開10周年を記念した再上映が行われる予定です(上映館は公式情報でご確認ください)。
🌱 今日のまとめ
過去は消せない。でも、向き合うことはできる。
- 将也は、かつていじめた硝子と、もう一度向き合おうとする。
- 手話・筆談など、伝える方法はいろいろある。
- 聞こえる人どうしでも、気持ちが伝わらないことがある。
- いじめは「した側」「された側」「見ていた側」みんなの問題。
公開2週目には、耳の聞こえない人・聞こえにくい人も楽しめるよう、全国の劇場で日本語字幕付きの上映が1日1回行われました。また、この作品は第40回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞などを受賞しています。