生まれつき顔に障害があり、ずっと家で勉強してきた10歳の少年オギー。5年生になって、はじめて学校に通うことになります。じろじろ見られること、ひそひそ話、そして友だち──。この記事では、「見た目のちがい」と「友だちになる」ことを考えます。
クラスには、いろいろな人がいます。見た目、得意なこと、家の事情、話す言葉。「ちがい」があるのは、あたりまえのことです。
➡ この特集では、映画を入り口に「ちがい」とどう向き合い、どう一緒に生きていくかを考えます。第1回は、学校が舞台の物語です。
オギーは、生まれつき顔に障害があり、これまでに何度も手術を受けてきました。人の目が怖くて、外では宇宙飛行士のヘルメットをかぶるのが大好きです。
5年生の新学期、両親にすすめられて、オギーは初めて学校に通い始めます。初日から視線や心ない言葉に傷つきますが、少しずつ、ジャックやサマーといった友だちができていきます。
ところがある日、信じていた友だちの本音を聞いてしまい……。
この映画は、オギーだけでなく、周りの人たちの目からも物語が語られるのが特徴です。
- 👧 姉のヴィア家族がオギー中心になる中で、「自分も見てほしい」とさみしさをかかえています。
- 🧒 友だちのジャックオギーと仲よくなりながら、周りの目を気にして心ない言葉を言ってしまいます。
- 👭 ヴィアの親友ミランダヴィアと距離を置いてしまった理由が、ミランダの側から明かされます。
オギーだけが「かわいそうな人」ではありません。だれにでも、外からは見えない事情がある──この映画は、そのことを視点の入れかえで伝えています。
担任のブラウン先生は、毎月「格言」を黒板に書きます。最初の格言は、こんな内容です。
"When given the choice between being right or being kind, choose kind."
(正しいことと親切なこと、どちらかを選ぶときは、親切なほうを選ぼう)
── 映画『ワンダー 君は太陽』(2017年)より
「正しさ」で相手を言い負かすより、相手の気持ちを考えて行動する。オギーの周りの子どもたちも、この言葉の意味を少しずつ学んでいきます。
自分の小説を映画化した『ウォールフラワー』などで知られる監督。
原作は、世界中でベストセラーになった小説『ワンダー』。作者は、アイスクリーム屋さんで顔に障害のある女の子と出会ったとき、自分の子どもが怖がって泣いてしまい、うまく対応できなかった経験がきっかけで書いたと語っています。
特殊メイクで顔の障害を表現し、はずかしさ、怒り、うれしさを細やかに演じました。
オギーをユーモアと愛情で支える両親。
子どもたち一人ひとりに向き合う、学校の大人たち。
- ① じろじろ見ない、でも無視しない見た目に注目するのではなく、その人の話や好きなことに目を向ける。
- ② 「見えない事情」を想像するオギーにも、姉にも、友だちにも、それぞれの悩みがある。
- ③ 周りに流されないジャックは「みんなに合わせた言葉」で、大切な友だちを傷つけてしまった。
- ④ 親切は「選ぶ」もの親切は、気持ちだけでなく、行動として選ぶことができる。
オギーの顔は、映画の最後まで変わりません。変わっていくのは、周りの人たちの見方です。
🌱 今日のまとめ
変わったのは、オギーの顔ではなく、周りの見方でした。
- オギーは、顔の障害を理由に、学校で傷つく経験をする。
- 物語は、家族や友だちなど、いろいろな人の視点で語られる。
- だれにでも、外からは見えない事情がある。
- 親切は、気持ちだけでなく「選ぶ行動」でもある。
オギーが大好きなのは『スター・ウォーズ』。映画の中には、オギーの想像の中にキャラクターのチューバッカが登場する場面もあります。