事故で首から下が動かなくなった大富豪フィリップ。介護の経験もなく、口も悪い若者ドリスを、住みこみの介護人に選びます。まわりの人がおどろいたその理由は──「彼は、私を同情の目で見ないからだ」。この記事では、障害のある人との「対等な関係」を考えます。
障害のある人と関わるとき、私たちはつい「かわいそう」「助けてあげなきゃ」と考えてしまうことがあります。
➡ でも、それは相手を「下」に見ることにつながっていないでしょうか。特集第5回では、実話をもとにした友情の物語から考えます。
パリに住む大富豪フィリップは、パラグライダーの事故で首から下がまひし、車いすで生活しています。
介護人の面接にやってきたのは、パリ郊外の団地で暮らす若者ドリス。仕事をする気はなく、失業手当をもらうためのサインがほしいだけでした。ところがフィリップは、ドリスを採用します。
遠慮のないドリスと、上品で気むずかしいフィリップ。まったくちがう二人の毎日が、少しずつ変わっていきます。
- 😐 特別あつかいしないドリスは、フィリップを「障害者」としてではなく、一人の大人として接します。
- 😄 笑いあえる関係ときには障害のことをネタに冗談を言い合うほど、二人は遠慮のない関係になります。
- 🎶 おたがいに世界を広げるフィリップはドリスに芸術を、ドリスはフィリップに新しい楽しみを教えます。
介助は「してあげる/してもらう」だけの関係ではありません。おたがいに影響をあたえ合う、対等な人間どうしの関係になれることを、この映画は描いています。
この映画には、障害だけでなく、住む場所や生まれ育ちによる「壁」も描かれています。
- 🏢 郊外の団地ドリスは、移民の家族が多く住む郊外の団地で育ち、仕事を見つけるのに苦労しています。
- 🏛️ パリの豪邸フィリップは、芸術に囲まれた豪邸で暮らしています。
- 🤝 出会うはずのなかった二人ふだんは交わらない二人が出会ったことで、おたがいの見方が変わっていきます。
二人で組んで映画をつくるフランスの監督コンビ。
フィリップのモデルは、実業家フィリップ・ポッツォ・ディ・ボルゴ。介護人のモデルとなった人物との実話が、本やドキュメンタリーで紹介されたことがきっかけで映画化されました。映画の最後には、実在の二人の姿も映し出されます。
首から下が動かない役を、表情と声だけで豊かに演じました。
明るくまっすぐな若者を演じ、東京国際映画祭で最優秀男優賞(フランソワ・クリュゼとダブル受賞)に輝きました。
- 🏆 東京国際映画祭2011年、最高賞の東京サクラグランプリを受賞。
- 🎬 日本アカデミー賞最優秀外国作品賞を受賞しました。
- 🌍 世界中でリメイクアメリカなどでもリメイク版がつくられています。
🌱 今日のまとめ
同情ではなく、一人の人として向き合う。
- フィリップは、同情しないドリスを介護人に選んだ。
- 二人は、おたがいに世界を広げ合う対等な関係になった。
- 障害だけでなく、生まれ育ちによる「壁」も描かれている。
- 実話をもとにした物語で、世界中でリメイクされた。
原題の“Intouchables”は、フランス語で「触れられない人たち」という意味。社会の中で、ふだんは交わることのない二人を表しているとも言われます。